紙自体は食品包装材としての長い歴史を有していますが、それらの紙のほとんどは特殊な紙、すなわちパラフィン紙、グラシン紙、油紙等でした。また、塗工マニラボール、白ボールが食器として用いられてきました。しかし特殊とは言っても水に弱いことには変わりなく、液状の食品、飲料を詰められるとは考えられない時代が長く続いたのです。その限界を超えるために挑んだのが、プラスチックとの融合でした。紙には紙の長所があり、その清潔感や印刷適性、軽さ、柔らかさを何とか活かすための研究が重ねられたのです。その結果、紙の長所とプラスチックの長所を結びつけることに成功したとされています。
具体的には、1960年代のスウェーデンにおいて、紙の表面に低密度ポリエチレンを塗布したものが開発されたということでした。その紙をテトラパックにすることで、中に液体を入れられるという優れものでした。米国も負けてはおらず、その数年後にはクラフト紙にワックスやポリエチレンを塗布して作った紙パックが誕生しました。
日本でもそれから10年ほど経過した後、紙パックが開発されるようになったといわれています。日本の紙パックはゲーベルトップ型で、直方体を基本形として頭頂部が屋根状になったものでした。普及も急速に進み、今でも牛乳等の販売に利用されています。外から見ただけでは単なる紙にしか見えないのですが、両面に薄いポリエチレンフィルムが貼りつけられています。つまり食品との接触部分はプラスチックであり、それ故漏れ出すことはないのです。
紙パックはいくら表面をプラスチックで塗布しているとはいえ、その大部分は紙で出来ていることにかわりはありません。従って密封後の加熱殺菌はできません。ですから製造過程は完全なクリーンルームで行われることになります。注入するまで紙パックは無菌状態が維持され、加熱処理直後の液体をすぐに入れるのです。