豆腐の製造工程は定まっており、大豆を磨り潰すところから始めます。次に沸騰水で加熱し、木綿袋に入れます。絞り出したものににがりを加えてしばらく待ち、最後に余計な湯を捨てれば凝固したものが現れますから、成形すれば完成です。この豆腐は柔らかいこと、直方体であることが特徴ですから、それを壊さないように包装する必要があります。そこで包装容器に水を充填する方法が採用されました。しかし使われる水の状態、充填方法、シーリングが全て上手く噛み合わない限り、微生物が繁殖してしまう可能性があるのです。その欠点を補うべく、昭和30年代には容器に直接豆腐の材料を注入し、密封した上で加熱する方法に切り替わったということです。これにより、豆腐は常温でも長期保存することが可能になりました。しかしこの方法は長続きしませんでした。保存には便利であったのは確かですが、豆腐の四角が失われ、丸い形状に変わってしまうという問題が発生いたしました。次第に直方体の頃の食感を求める消費者から反発の声が上がり始め、最終的に水を充填する方式に戻されたそうです。しかし現在では丸型の豆腐を製造する際の技術はそのまま活かされ、保存可能日数は飛躍的に増えました。
豆腐と並んで包装に特色があるのが卵でしょう。簡単に割れてしまう卵をどのような包装材で流通させるかは、メーカーの悩みの種だったようです。一般に卵と言えば鶏卵を指し、家庭はもちろんのこと、飲食店や各種施設でも利用、消費されます。マヨネーズ等の原料としても利用されるので、大量に何度も運搬されることになります。卵の卵殻には、外部から有害物質、微生物を侵入させない役目がありますが、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウムだけでは完全に防ぐことが出来ません。また、クチクラや卵殻膜には呼吸用の穴があいているため、完全防御は尚更期待できなかったわけです。そこで包装材が代わりに守ることになります。