牛乳は重要な栄養源となる食品であることから、その取扱いについては様々な制限が課されてきました。昔は牛乳が宅配されるのが一般的でしたが、その頃には既に包装容器が指定されていました。一合のガラス瓶に注入し、低温下で流通させることが義務付けられていたのです。消費者も5日以内に飲み終えなければならず、ストレスも小さくありませんでした。ガラス瓶以外の容器も許可を受ければ使用できましたが、陶磁器や金属缶などに限られていました。これらの縛りから解き放たれる契機となったのが、紙製のテトラパックの開発でした。海外ではこの開発によって、牛乳を常温で貯蔵できるようになったことから、日本でもその後を追って研究が重ねられ、最終的に牛乳メーカーと包装材メーカーとの協働により、牛乳の常温保存が日本でも実現したということでした。具体的には、高温で完全殺菌した牛乳を、これまた完全殺菌した紙パックに無菌条件下で注入するというもの。
さて、食品の包装容器に求める事柄は様々ですが、意外に重要なのは中身が見えることだと思います。つまり食品包装材は透明であることも大きな利点となります。この基本的な視座は古代から存在したもので、土器からガラス容器に移行した当時は画期的だったと考えられます。しかし今となってはガラス容器も欠点が見られることから、それほど有難い包装材ではありません。特に重いこと、破損し易いことは、現代人にとって看過できない難点でしょう。そこでガラス容器の代用品として開発されたのがプラスチック容器というわけです。プラスチック容器であれば、ガラスと同様に透明で、しかも軽く、壊れにくいという特徴があります。